発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013186083
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症例は27歳男性で、5ヵ月前に右浅頸リンパ節の腫脹を認め経過観察していた。今回、タンパク尿と汎血球減少を認め精査加療目的に入院となった。入院時、肝障害、EBV-VCA-IgG抗体320倍、フェリチン、sIL2Rが高値であり、骨髄穿刺で有核細胞数の減少とリンパ球様の芽球を認め、悪性リンパ腫と診断された。PETでは、頸部、大動脈周囲のリンパ節、肝臓、脾臓に取り込みを認め、腹部CTでは肝脾腫が認められた。CHOP療法を施行したところ、症状はやや軽快したが1週間後に再燃した。イトラコナゾールとバンコマイシンを開始したが、汎血球減少の遷延、肝酵素の上昇、肝脾腫の増大が認められた。その後、EB virus encoded small RNA in situ hybridizationにてEBV-associated T/NK-cell LPDと診断された。また、EBV-DNA 200000copy/μgDNA、フェリチン高値および骨髄中の血球貪食像により血球貪食症候群と考えられた。HLH2004プロトコールの治療に準じてデキサメタゾン、シクロスポリンを連日投与、エトポシドを週2回投与した。開始8週後よりHLH2004プロトコールの維持療法を開始した。維持療法中のPET所見ではリンパ節の取り込みもなく緩解状態であったが、腹部CT検査では肝脾腫に変化はなかった。維持療法開始後約3ヵ月で肝不全が悪化し、ESCAP療法を行ったが効果なく死亡した。
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