最後までよい人生を支えるには 多死時代の終末期医療 国として終末期を支えるには
国際福祉研究の立場から 積極的に胃瘻造設を行っていた国から行わない国に変わったフランス
高橋 泰
1
1国際医療福祉大学 大学院
キーワード:
胃造瘻術
,
緩和ケア
,
ターミナルケア
,
高齢者保健医療サービス
,
日本
,
フランス
Keyword:
France
,
Health Services for the Aged
,
Gastrostomy
,
Japan
,
Palliative Care
,
Terminal Care
pp.1445-1449
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014056541
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1990年ごろのフランスでは,意識障害や認知症の高齢者が経口摂取困難になったときに,積極的に胃瘻が造設されていた.現在フランスでは,意識障害や認知症の高齢者が経口摂取困難になった場合,胃瘻などの積極的な延命治療は,ほとんど行われていない.文献による確認はできていないが,2008~2013年に行った6回にわたる医療視察の調査結果を総合すると,フランスは1990年代から2000年代初頭にかけて,嚥下障害のある高齢者に対して徹底的に胃瘻造設を行う国から,行わない国になったようである.日本でも2010年ごろから胃瘻を希望しないケースが現れ始め,フランスと同様,嚥下障害のある高齢者に対する胃瘻造設は減少傾向に突入したように思われる.今後日本も,意識障害のある高齢者に対する胃瘻による延命がほとんど行われない国になっていくと予想される.
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