発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013191380
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症例は74歳男性で、約半月前より食欲不振、四肢の痺れを認めていた。今回持続する発熱と嘔気が出現し当院救急搬送となった。入院時、頸静脈怒張を認め、両肺野で湿性ラ音を聴取し、両下腿の浮腫を認め、膝蓋腱反射、アキレス腱反射は両側とも消失していた。また血液検査で著明な乳酸アシドーシスを認め、心電図で心房細動、R波増高不良を認め、胸部X線で心拡大、Kerley Bラインおよび肺門部血管陰影増強が認められた。更に心臓超音波断層法で左室肥大を認め、左室壁運動はび漫性に低下しており、大量の心嚢液貯留を認め、warm and wetの急性心不全と診断した。入院2時間後に血圧が121/72mmHgから80/60mmHgへ低下し、ドーパミンを開始するもショックが遷延した。心タンポナーデは否定的であり、栄養不足は考えにくく腱反射の消失があったことから、ビタミンB1欠乏による衝心脚気の疑いでビタミンB1の投与となった。投与後循環状態は速やかに改善し、乳酸アシドーシスも改善し、嘔気、発熱も改善し、第19病日に退院となった。退院時、肺うっ血、左室収縮能は改善し、心嚢液は消失しているのを認め、血清ビタミンB1は入院時の14.4ng/mlから退院時には104ng/mlに上昇した。
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