発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013083888
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63歳男。尿糖陽性を指摘されたが加療せず、翌年、右肘関節付近に膿瘍が出現し、高血糖を指摘された。食餌療法とSU剤、pioglitazone投与で糖尿病コントロールは急速に改善したが、下肢痺れが増強し、末梢神経障害と診断された。Pioglitazoneをmetforminに変更したところ、HbA1c、空腹時血糖はほぼ基準値を推移したが、初めてHbA1cが測定不能となり、HPLC測定により異常Hbが疑われた。精査でisopropanol testが陰性、β鎖ヘモグロビン遺伝子(HBB)DNA分析で、codon 126GTG(Val)がATG(Met)に変異した異常Hbのヘテロ結合体であることを確認した。さらに2年を経て糖尿病関連合併症があり、現在はHPLC法測定を中止し免疫法で測定している。糖尿病患者には多くの異常Hbを有する患者が存在するため、HbA1c値判定は数値に限らずHPLCの溶出パターンの確認が必要と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2012