発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012185411
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
77歳男。糖尿病、高血圧で降圧薬内服とインスリン自己注射を行っていた。飲酒後に入浴し、約8時間後に浴槽で寝ている状態で発見され救急受診となった。手足の皮膚はふやけ、軽度構語障害があり、右肺に軽度coarse crackleを聴取し、下腹部に軽度圧痛、白血球の増加を認めた。2日後にCRPの増加、肝障害と腎障害を認めたが、上部消化管内視鏡で食道裂孔ヘルニアと萎縮性胃炎を認めるのみであった。浴槽水の誤飲を考慮し、CTRXと輸液、インスリンでの血糖コントロールを行い3日後に解熱し、5日後には白血球とCRPも改善した。入院直後から水様下痢を認めたが便培養は病原菌陰性で、腹部造影CTも異常なく、入院後23日の大腸内視鏡で直腸内3/4週に表面と辺縁の一部に白色粘液が付着した広基性隆起を認めた。生検組織は炎症細胞の浸潤と炎症性肉芽組織の中に「ふくろうの眼」様を含む種々の核内封入体を認め、サイトメロガウイルス(CMV)腸炎と診断した。入院後25日に全身状態良好で退院し、1週間後の外来時に下痢は消失し、初回より4ヵ月後の大腸内視鏡で隆起は消失し瘢痕のみとなった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012