発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012175500
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
88歳男。複視、非回転性めまいが出現し、嘔気・嘔吐も伴った。脳神経系は正面視で左眼外転位、上下方視は制限なし、右方視で右眼外転障害、左眼は正中位に改善した後から眼振が出現するようになった。左方視で右眼内転障害を認め、輻輳は可能であった。同時に右核下性顔面神経麻痺(CN VII麻痺)が認められた。四肢筋力、腱反射、感覚系、小脳系、錐体外路系には異常所見を認めなかった。頭部MRIの拡散強調像では右下部橋背側被蓋に高信号領域を認め、T2強調画像でも高信号を示した。脳幹部ラクナ梗塞の診断でedaravone 200mg/day、aspirin 100mg/dayを開始した。左眼外転位は3日後に改善し、内側縦束障害は1週間持続後に消失した。傍正中網様体障害は次第に軽減したが4ヵ月後も軽度残存した。1年後の診察においても核下性CN VI麻痺と核下性CN VII麻痺は改善が乏しかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012