発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012175499
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56歳男。33年前に右眼腫瘍で眼球摘出術を受けていた。下腿浮腫と歩行時の呼吸困難が出現し、左室収縮機能低下と右房内の腫瘤を指摘された。心電図で心房細動を認め、心エコーでは壁運動がび漫性に低下し、左室駆出率44%であった。心臓CTでは右房内に約50mmの高吸収腫瘤および心筋・心外膜に多発性の高吸収結節が認められた。全身MR画像ではこれらの腫瘤に加えて多発性肝腫瘤、左副腎腫瘤を認め、T1・T2強調、脂肪抑制T1強調画像のいずれも高信号を示した。肝腫瘤から生検を施行し、腫瘍細胞はメラニンを含み、免疫組織染色でHMB45およびS100陽性であり、悪性黒色腫と診断された。心不全および心房細動に対してfurosemide、ACE阻害薬、amiodarone、warfarinで治療を行い、洞調律回復後に心不全は改善し、左室駆出率64%となった。患者は化学療法は希望せず、緩和療法のみ施行され、診断から4ヵ月後に死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012