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症例は2歳5ヵ月女児で、受診の約5日前ごろから顔面・手足・体幹に紅斑・丘疹が出現した。発熱はなかった。受診1日前の夕方に左頬がひきつれているようになっていることに気がつき、近医受診後に紹介、入院となった。Herpes symplex virusによる感染を考慮し、アシクロビル(ACV)およびプレドニゾロン(PSL)の点滴静注を開始した。ビタミンB12の点滴静注も併用した。PSLは入院時1mg/kg/日で開始し、第8病日から0.6mg/kg/日に、第11病日には0.3mg/kg/日に漸減し、第13病日には終了した。各種ウイルス抗体価はEB VCA-IgG 3.7(+)、EB VCA-IgM 1.7(+)、EBNA 0.3(-)であり、EBV初感染であった。ACVは中止した。涙分泌不全、唾液分泌不全はなく、茎状突起より末梢側での障害と考えられた。顔面神経麻痺の評価は40点法(柳原法)とFacial Nerve Grading System 2.0(FNGS 2.0)を使用した。入院時、口すぼめはできず、額のしわ寄せや安静時閉眼はできず、左鼻唇溝は消失していた。退院時には閉眼としわ寄せについてはかすかに弱いところまで回復し、口すぼめもできるようになったが、鼻唇溝は安静時非対称のままであった。柳原法で入院時12点が18点に改善した。FNGS 2.0では23点が19点に改善した。皮疹については第8病日にはほぼ消失した。発症3ヵ月後にEB VCA-IgG 7.5(+)、EB VCA-IgM 0.1(-)、EBNAは2.4(+)に上昇した。なお、3ヵ月後の顔面神経麻痺の評価では、柳原法:32点、FNGS 2.0:4点と良好な経過であった。
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