診療controversy medical decision makingのために クローン病の成分療法はどこまで実施するか
積極的に導入する立場から
小嶋 裕一郎
1
,
小俣 政男
1山梨県立中央病院 消化器内科
キーワード:
Crohn病
,
経腸栄養
,
術後管理
,
Infliximab
,
経腸成分栄養剤
Keyword:
Infliximab
,
Crohn Disease
,
Enteral Nutrition
,
Food, Formulated
,
Postoperative Care
pp.151-155
発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012118564
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クローン病は現在も増加傾向であり若年発症例が多いことから、有効な治療法であることはもちろん、その安全性に関してもとくに重要である。近年登場した抗TNF-α抗体は、従来の治療法に比較し劇的な治療効果をもたらしてきた。しかし、因果関係は明らかではないがhepatosplenic T-cell lymphoma発症の報告があり、今後長期使用症例の副作用としてどのようなものが出てくるか未知な点が多い。一方、成分栄養療法(elemental diet:ED)は、窒素源として蛋白質ではなくアミノ酸から、また脂肪をほとんど含まない組成からなり、重篤な副作用はない。これまでの前向き研究でもステロイドと比較して、それ以上の効果の報告がある。抗TNF-α抗体が出現した現在、EDを併用すべきかどうかは今後の検討が不可欠であるが、これまでのretrospective studyでは併用したほうがよいとされる。今後は前向き試験により、抗TNF-αとの併用が有用かどうかの検討が望まれる。
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