発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011306524
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61歳男。頭痛、食欲低下および発熱を主訴に受診した。項部硬直、左動眼神経麻痺、複視、炎症反応、総蛋白とアルブミンの低値、LDHの高値を認めた。髄液は細胞数、リンパ球、蛋白の増加、糖の減少を認めたが、髄液培養はいずれの細菌も陰性、ACE、可溶性IL-2受容体は基準範囲内で心電図に異常は認めなかった。髄膜炎と診断してmeropenemを投与したところ、頭痛は消失し解熱したが、多尿が出現した。MRIで下垂体、下垂体茎の左右対称性腫脹を認め、ガリウムシンチでは下垂体に一致、限局した取り込み亢進を認め、下垂体の強い炎症が示唆された。内分泌学的検査では、FT4、FT3、TSHいずれも低下を認め、中枢性の甲状腺機能低下症が示唆された。prednisolone、L-T4、desmopressin投与にて、頭痛、複視、多尿は速やかに改善した。1ヵ月後には下垂体および下垂体茎の腫脹は著しく改善し、再検したガリウムシンチでは下垂体に一致した取込みは消失していた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011