連載
症例をどうみるか 急性錐体尖炎から細菌性髄膜炎をきたした成人例
関根 康寛
1
,
高橋 英里
,
吉田 沙絵子
,
菊地 さおり
,
飯野 ゆき子
1東京北医療センター 耳鼻咽喉科
キーワード:
Dexamethasone
,
Penicillin G
,
意識障害
,
髄膜炎-肺炎球菌性
,
多剤併用療法
,
髄液
,
Trimethoprim-Sulfamethoxazole
,
早期診断
,
錐体尖炎
,
髄液検査
,
頭部CT
Keyword:
Drug Therapy, Combination
,
Meningitis, Pneumococcal
,
Trimethoprim, Sulfamethoxazole Drug Combination
,
Consciousness Disorders
,
Dexamethasone
,
Cerebrospinal Fluid
,
Penicillin G
,
Petrositis
,
Early Diagnosis
pp.765-769
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/J01814.2019275673
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46歳男。右耳痛、発熱、体動困難を主訴とした。右顔面神経麻痺と軽度の意識障害を認めた。右鼓膜後上象限に肉芽様組織を認め、中鼓室には含気があり、CTでは右錐体尖に骨破壊を認めた。耳性髄膜炎と診断して右鼓膜切開し、髄液検査から起炎菌は肺炎球菌が疑われたため、セフトリアキソン、バンコマイシンを投与し、第3病日にはほぼ意識清明となった。髄液培養と血液培養からペニシリン感受性肺炎球菌が検出され、第4病日からペニシリン投与に変更した。第7病日の純音聴力検査で右耳は中等度の混合性難聴を呈していた。第10病日の造影MRIでは右錐体尖は全体的に造影効果を認め、急性中耳炎からの錐体尖炎が原疾患であることが疑われ、保存的治療を継続した。第19病日の退院時には顔面神経麻痺は改善し、退院2ヵ月後の純音聴力検査で気骨導差がなくなり、退院5ヵ月で抗菌薬を終了した。
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