発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010211415
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61歳男。患者は紫斑と出血傾向を主訴とした。約5年前、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と診断され、ステロイド内服治療により血小板数は5~20×10^4/μl程度で推移していた。血小板の著明な減少がみられ、ステロイドの増量、血小板輸血、γグロブリン大量療法を試みたが改善せず、出血症状は悪化し、食事や内服は不可能となった。また、熱発も認められ、口腔内感染、尿路感染を併発、後日には血小板抗体陽性が確認された。以上より、治療として抗菌薬投与を開始し、ITPの治療としてステロイド大量療法を追加した。更に消化管潰瘍予防にomeprazoleを開始し、あわせてHelicobacter pylori除菌を念頭に前記の投薬に加えてclarithromycinの類薬であるerythromycinを投与した。これらの薬剤は6~9日間投与され、その結果、出血傾向は速やかに改善し、食事摂取も可能となり、遅れて血小板数の改善、出血傾向が完全に消失した。尚、6ヵ月目の血液検査ではH. pylori除菌の成功も確認された。
©Nankodo Co., Ltd., 2010