発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010107287
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64歳女。食欲低下と嘔吐、下痢、38℃台の発熱で急性胃腸炎と腹部腫瘤を近医にて指摘され、当院産婦人科での経腟超音波と腹部CTにて巨大卵巣腫瘍を認め手術目的入院した。甲状腺機能亢進症とNT-proBNP高値を認め内科に転科となった。眼瞼結膜貧血軽度、眼球突出軽度、甲状腺は右葉に母指頭大の圧痛を伴う腫瘤を認め、頸静脈の怒張は著明で二峰性に拍動し、FT4 4.19ng/dl、甲状腺受容抗体陽性よりバセドウ病と診断した。甲状腺エコーで甲状腺の血流は豊富で、心エコーでEF78%、推定右室収縮期圧82mmHg、右房の拡張と下大静脈の呼吸性変動低下を認めた。腹部CTで骨盤から腎レベルに達する巨大な嚢胞性腫瘍を認め、下大静脈、大動脈下部や右総腸骨~外腸骨動脈も圧排されていた。甲状腺機能亢進症と診断してヨウ化カリウム、thiamazoleとmetoprolol tartrate内服を開始し、甲状腺機能を正常化後に手術施行とした。FT4の減少に伴って肺高血圧も改善した。手術により摘出された卵巣腫瘍は嚢胞腺腫と診断され、術後9日目に退院した。
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