発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010107288
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78歳女。約1年前より意識・歩行・左手巧緻運動障害、呂律困難の進行で前病院に入院し、局所性髄膜炎と診断しされた。ステロイドパルス療法を行なうも廃用性萎縮が進行し抗結核薬の継続内服で退院した。1年後に発熱と無動無言状態、経口摂取困難となり精査と胃瘻造設目的で当院紹介入院した。JCSII-20、正面視で右向きの眼振、四肢の自発動はないが左上肢麻痺を認め、深部腱反射で左上下肢が亢進していた。免疫検査でRFと抗CCP抗体の異常値、血清補体価(CH50)低値、抗カルジオリピン抗体IgG軽度上昇、可溶性IL-2レセプターの高値を認めたが、髄液検査で異常は認めなかった。頭部MRIで右前頭頭頂部の髄膜と一部脳実質がT1強調像で増強され、拡散強調像で脳表に高信号、T2 FLAIR像で浮腫状変化を認めた。前病院での脳生検病理所見より、ラ氏型巨細胞を伴う肉芽腫性血管炎像を認め、中枢神経限局性血管炎(IACNS)と診断した。ステロイド薬に反応良好であったが、経口摂取が困難であったため、胃瘻造設を行った。
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