糖尿病診療の新時代 2010年代の展望
神経を介した臓器間連関を利用した膵β細胞再生治療の可能性
今井 淳太
1
,
片桐 秀樹
1東北大学 大学院医学系研究科分子代謝病態学分野
キーワード:
Langerhans島
,
シグナルトランスダクション
,
疾患モデル(動物)
,
糖尿病
,
肥大
,
肥満
,
インスリン分泌細胞
,
再生医学
,
Extracellular Signal-Regulated MAP Kinases
Keyword:
Disease Models, Animal
,
Diabetes Mellitus
,
Hypertrophy
,
Islets of Langerhans
,
Obesity
,
Signal Transduction
,
Extracellular Signal-Regulated MAP Kinases
,
Regenerative Medicine
,
Insulin-Secreting Cells
pp.104-107
発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010082285
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われわれはこれまで、末梢臓器からの神経シグナルが中枢神経に伝達され、その情報をもとに中枢神経が他の末梢臓器の代謝状態を変化させる神経シグナルを送るという、神経を介した臓器間連関が存在することを明らかにしてきた。この連関機構に膵β細胞も組み込まれており、肥満状態などを感知した肝臓からの神経シグナルが中枢神経を介して膵β細胞に伝達され、インスリン分泌の亢進、β細胞の増殖を起こす機構が存在することが明らかになった。この肝臓-膵β細胞間連関を活性化することにより、インスリン欠乏性糖尿病モデルマウスの糖尿病状態を改善したことから、これまでにない観点からの膵β細胞再生治療の開発につながる可能性がある。
©Nankodo Co., Ltd., 2010