発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008196554
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56歳男。糖尿病性腎症IV期の診断で当院通院治療中に増殖性硝子体網膜症手術を行った。翌日から眼圧上昇に対してmannitol投与を開始したが2日後より頻回の嘔吐、血清Cr値の上昇と腎機能の悪化を認め、投与3日間で中止したが嘔吐は持続し、尿素窒素(BUN)と血清Cr値がさらに上昇したため当科紹介となった。眼瞼、両手指の著明な浮腫と両下腿の軽度浮腫を認め、血液検査にて血清アルブミン値の低下および乳酸脱水素酵素(LDH)の上昇と血清Naの低値を、血液ガス分析にてアニオンギャップの増大を伴う代謝性アシドーシスを認めた。低Na血症は浸透圧ギャップ(Osmolar gap)を認めたためmannitol投与による偽性低Na血症を考え、腎機能障害の原因はmannitolによる薬剤性急性腎不全を疑ったが、緊急性は乏しいと判断してmnnitol中止と補液投与で保守的治療とした。3日後より尿量が増加して血清Crと腎機能改善を認め、4日後には浮腫も軽快してBUN、Crは術前値まで改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008