CRAS 心・腎・貧血の悪循環
CRASの疫学 心血管からみた慢性腎臓病・貧血の疫学
花房 規男
1
1東京大学医学部附属病院 血液浄化療法部
キーワード:
心不全
,
貧血
,
慢性腎臓病
,
CRA症候群
Keyword:
Anemia
,
Heart Failure
,
Renal Insufficiency, Chronic
pp.10-15
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009247933
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CRASは、心血管疾患(CVD)、慢性腎臓病(CKD)、貧血を同時に認める症候群である。CKDは、腎性貧血として貧血の原因となることはもとより、CVDと深く関連し、予後が悪化することが知られている。このことが、CKD対策が重要となる理由の一つである。CVDは、他の要因とは独立にCKDの原因となる一方、主に血液の希釈により貧血の原因ともなる。貧血治療は、final common pathwayへの対策としてCKDの進展を抑制する可能性がある。さらに心負荷の軽減をもたらし、CVDに対しても好影響をもつ可能性がある。CRASでは、こうして三つの病態が密接に関連し、悪循環を形成しており、それぞれの病態に介入することにより、予後が改善する可能性がある。
©Nankodo Co., Ltd., 2009