膵癌診療最前線 新たな抗癌薬により長期生存を目指す
膵癌に対する化学療法 TS-1の登場とその臨床的意義
中井 陽介
1
,
佐々木 隆
,
伊佐山 浩通
,
多田 稔
,
小俣 政男
1東京大学 消化器内科
キーワード:
腫瘍多剤併用療法
,
膵臓腫瘍
,
治療成績
,
Gemcitabine
,
TS-1
,
放射線化学療法
Keyword:
Antineoplastic Combined Chemotherapy Protocols
,
Pancreatic Neoplasms
,
Treatment Outcome
,
Chemoradiotherapy
,
Gemcitabine
pp.702-705
発行日 2008年10月1日
Published Date 2008/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008338458
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gemcitabine(GEM)は、進行膵癌に対する標準治療として確立しているが、その治療成績は十分とはいえず、他の抗癌薬との併用療法の臨床試験が多く行われている。TS-1はフッ化ピリミジン系の経口抗癌薬であり、単剤あるいはGEMとの併用による全身化学療法、あるいは局所進行例における放射線化学療法において、その有効性が示されつつある。経口薬であることからQOLの面でも優れており、期待される薬剤である。当科の進行膵癌の治療成績の検討においても、TS-1導入前後で生存期間が9.5ヵ月から12.9ヵ月まで改善を認めている。現在進行中のGEM単剤とGEM/TS-1併用療法との比較試験の結果が待たれる。
©Nankodo Co., Ltd., 2008