膵癌診療最前線 新たな抗癌薬により長期生存を目指す
膵癌に対する化学療法 膵癌化学療法の夜明け gemcitabineが変えた臨床
船越 顕博
1
,
肱岡 真之
,
原田 林
,
大内 二郎
1国立病院機構九州がんセ 消化器・膵臓内科
キーワード:
腫瘍多剤併用療法
,
膵臓腫瘍
,
投薬計画
,
臨床試験
,
多施設共同研究
,
治療成績
,
Gemcitabine
,
放射線化学療法
Keyword:
Antineoplastic Combined Chemotherapy Protocols
,
Clinical Trials as Topic
,
Drug Administration Schedule
,
Pancreatic Neoplasms
,
Treatment Outcome
,
Multicenter Studies as Topic
,
Chemoradiotherapy
,
Gemcitabine
pp.696-701
発行日 2008年10月1日
Published Date 2008/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008338457
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これまで進行膵癌に対する化学療法は、fluorouracil(5-FU)を中心として、さまざまな試みがなされてきた。しかし、いずれも効果が得られることはきわめてまれであった。そうした中、新規抗癌薬gemcitabineの登場により、膵癌化学療法は本邦でもやっと夜明けを迎えたといえる。筆者らの多施設共同研究でも、gemcitabineの腫瘍縮小効果はそれほど顕著ではないが、QOLが保たれ、外来治療が可能であり、延命効果を認めるようになってきた。近年、科学的根拠に基づいた膵癌診療ガイドラインが発行され、gemcitabineが一次化学療法薬に認定されている。しかし、gemcitabineとの他剤併用療法の結果はいずれも単独療法に比べ有意差を認めず、投与方法の工夫および第二選択薬の開発は、今後の問題点である。さらに、gemcitabineの化学放射線療法での結果が期待される。
©Nankodo Co., Ltd., 2008