発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008332441
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62歳女。5年6ヵ月前より慢性腎不全で透析を導入されていた。透析終了後に嘔気・全身倦怠感が出現し、翌日より手足の震え、倦怠感の増悪、翌々日の透析時には手足の振戦、意識障害とミオクローヌス様の震えが強くなり、構語障害も出現し入院となった。自立歩行は不可、振戦、全身痙攣を認めたが、腎不全に伴う異常以外の異常所見は認めなかった。入院翌日の頭部CTは大脳皮質がびまん性に濃度低下して無酸素性脳障害の所見を呈し、脳波は低振幅の徐波を全般性に認めた。入院2日目夜よりコントロール不可の痙攣、ミオクローヌスが頻発して昏睡に至り、40℃前後の高熱が続いた。入院3日目にはWBC、CPKが上昇し、投与したlorazepamに伴う悪性症候群を疑ったが、髄液・血液から菌は検出されず、CPKはMM型有意で、血中ミオグロビンの高値より横紋筋融解症と考えた。悪性症候群の治療として入院4日目から血液透析(HD)を持続的血液濾過透析(CHDH)としたが徐々に循環動態が悪化し、入院7日目に血液濾過(HF)を実施したが状態は悪化し永眠された。7年後に慢性透析患者にスギヒラタケ摂取に関連した急性脳症が多発した。故人の夫に確認すると発病前にスギヒラタケなどのキノコ採りに行き摂取していたことが明確となり、スギヒラタケ摂取に関連する急性脳症と診断した。
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