透析患者の中枢神経系障害
透析患者の脳病態生理学 脳血流異常
藤崎 毅一郎
1
,
平方 秀樹
1九州大学病院 救命救急センター
キーワード:
血液透析
,
血管収縮剤
,
酸素消費
,
腎不全-慢性
,
低血圧-起立性
,
脳循環
,
脳疾患
Keyword:
Brain Diseases
,
Cerebrovascular Circulation
,
Kidney Failure, Chronic
,
Renal Dialysis
,
Hypotension, Orthostatic
,
Oxygen Consumption
,
Vasoconstrictor Agents
pp.1425-1432
発行日 2013年9月10日
Published Date 2013/9/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2014021269
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慢性維持血液透析(HD)患者では脳血流量や脳酸素代謝率が低値である.すなわち,貧血時に上昇すべき脳血流量の代償反応に障害があり,脳酸素代謝率はきわめて低値である.これらはrHuEPOによる部分的な貧血是正によっても改善しない.また,脳血流量は透析期間の長期化に伴って減少し,このことは前頭葉で顕著である.これらの異常の要因としては,慢性的な尿毒症状態による脳神経細胞の代謝障害,動脈硬化症による血流障害,自律神経系障害などによる循環制御機構の異常などが考えられる.通常の透析によって脳血流量は減少し,除水に伴う循環血漿量減少や血液濃縮が寄与している.さらに,透析低血圧や透析後の起立性低血圧発症時には血圧低下とともに脳血流量は急激に減少して意識障害の原因となる.脳を保護する観点からは,適正なドライウエイト設定による血圧安定化を基本に,低血圧例では脳血流量保持効果を有する昇圧薬の使用を考慮することが重要となる.
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