発行日 2014年6月10日
Published Date 2014/6/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2014259961
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70歳代男。腹部腫瘤精査目的を主訴とした。C型肝炎ウイルス陽性の血液透析患者で、腹部CTにて上腸間膜動脈分岐部レベルの大動脈と下大静脈間に腫瘤(42×33mm)を認めた。MRIでは悪性リンパ腫を疑う所見であったが、入院中に脳梗塞と虚血性腸炎を発症し、入院第171病日に死亡した。病理解剖では肝門部直下~腹部大動脈分岐部に径13×12cmの白色調・硬の腫瘤形成を認め、壊死傾向の強い腫瘍組織に既存のリンパ節が残っていることから、節外性で大動脈周囲の軟部結合組織由来と考えられた。また、腫瘍組織は免疫染色でL-26陽性を示し、HE染色でリンパ節内と脾臓に血球貪食像を認めたため、Epstein-Barr virus検索を行った。その結果、EBNA2、EBER、LMP-1がすべて陽性であり、III型潜伏感染から発生した免疫不全関連リンパ球増殖性疾患(日和見リンパ腫)と考えられた。
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