腫瘍内科診療データファイル
疾患からみる各種癌の診断・治療 骨・軟部腫瘍
尾崎 敏文
1
1岡山大学 医歯薬学総合研究科生体機能再生・再建学(整形外科学)
キーワード:
Cisplatin
,
Doxorubicin
,
Ifosfamide
,
Methotrexate
,
腫瘍多剤併用療法
,
骨腫瘍
,
軟部組織腫瘍
,
遺伝学的検査
Keyword:
Antineoplastic Combined Chemotherapy Protocols
,
Bone Neoplasms
,
Cisplatin
,
Doxorubicin
,
Ifosfamide
,
Genetic Testing
,
Methotrexate
,
Soft Tissue Neoplasms
pp.1349-1355
発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008061432
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骨・軟部腫瘍の診断・治療は、近年大幅に進歩した。それに伴い、骨・軟部肉腫患者の予後や術後機能も、過去20年で改善されている。それには、画像診断技術の進歩、化学療法の普及、切除縁の概念の普及、腫瘍切除後の再建技術の向上が大きな要因を占めている。術前化学療法により腫瘍の縮小化を図ることで患肢温存率も90%近くにまで上昇した。再建方法は、人工関節や生物学的な再建方法などさまざまな方法が行われているが、どの方法も利点と欠点を有する。近年は、形成外科医の協力のもとさらに高度な再建が行われている。しかし依然として軟部腫瘍は安易に切除されやすく、初期治療を誤ると、悪循環にはいる。骨・軟部腫瘍が治る時代になってきたからこそ、ますます初期対応は大切である。適当に切除するのではなく、画像等できちんと診断をつけて対応していただきたい。一方、転移性骨腫瘍症例に、根治をある程度考えた治療を行うか、あるいは姑息的な治療を行うかの判断が大切である。
©Nankodo Co., Ltd., 2007