発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008049457
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53歳女。患者は全身倦怠感を主訴とした。検査所見によりフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病と診断された。第4病日、第29病日に発熱があったが、抗菌薬投与等で解熱した。第9病日から寛解導入療法を、第14病日からimatinib内服を開始した。第35病日に発熱が出現し、薬剤投与でいったんは解熱したが、再度発熱した。その直後、喀血が出現した。胸部X線では右中肺野にわずかに透過性の減弱を認めたが、特異的な腫瘤影は認めなかった。喀血の性状も泡沫血性状で、肺出血と考えた。前日の血液検査所見と比較して、ヘモグロビン、血小板の減少、CRP上昇を認め、緊急に血小板輸血、赤血球輸血を施行したが、急激に低酸素血症が進行し、肺からの出血が次第に増悪して、初回喀血から4時間後に死亡した。尚、血液培養では緑膿菌が検出され、肺出血については寛解導入療法後の好中球減少時に、敗血症に伴う播種性血管内凝固症候群やdiffuse pulmonary damageによって血小板減少状態を背景に大量出血を来したと推察された。
©Nankodo Co., Ltd., 2007