B型肝炎の新たな治療展開
B型肝炎ウイルスの基本的理解のために B型肝炎ウイルスの組み込み(インテグレーション)再考
南 祐仁
1
,
藤井 恒太
,
宮川 昌巳
,
千藤 麗
,
岡上 武
1京都府立医科大学 大学院消化器内科学
キーワード:
B型肝炎ウイルス
,
肝細胞癌
,
ウイルス組込み
Keyword:
Hepatitis B virus
,
Carcinoma, Hepatocellular
,
Virus Integration
pp.627-630
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007346140
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HBs抗原陽性の肝細胞癌の90%以上で、宿主遺伝子にB型肝炎ウイルスが組み込まれていることがわかっている。従来、ごく少数の肝癌でのみ、B型肝炎ウイルス(HBV)組み込みによるcis-activationや融合蛋白の生成が肝発癌に関与していると報告されていたが、多くの例では組み込みはランダムであり、意義は不明とされてきた。しかし近年、ヒトゲノム情報の充実とPCR法を応用したHBV組み込み部位の検出技術の進歩により、多数の組み込み部位の詳細な解析が可能となった。これにより、従来考えられていたよりも高頻度に、宿主遺伝子近傍にHBV組み込みが存在し、hTERT遺伝子などの好発遺伝子や好発領域のあることがわかってきた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007