心不全予防 その最前線を探る
新たな負担軽減法を探る 無症候例への介入 薬物
井澤 英夫
1
,
室原 豊明
1名古屋大学 循環器内科
キーワード:
Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors
,
Adrenergic Beta-Antagonists
,
EBM
,
左心室機能障害
,
心室リモデリング
,
Angiotensin II Type 1 Receptor Blockers
Keyword:
Adrenergic beta-Antagonists
,
Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors
,
Ventricular Dysfunction, Left
,
Evidence-Based Medicine
,
Ventricular Remodeling
,
Angiotensin II Type 1 Receptor Blockers
pp.481-484
発行日 2007年3月1日
Published Date 2007/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007177259
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わが国では、無症候性左室収縮機能障害が定期検診などにより発見される例をしばしば認める。これらの症例の多くは、非虚血性であることが多い。また、心筋梗塞後に左室リモデリングを引き起こしていても、心不全症状を有さない症例も多い。これら器質的心疾患を有しているにもかかわらず心不全症状を有さない無症候例に対する、予防的薬物介入の効果は徐々にエビデンスが蓄積されつつある。薬物介入の基本は過剰に亢進した神経体液性因子の抑制であり、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、β遮断薬が第一選択薬として推奨される。また、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)も広く用いられるようになってきている。さらに、最近では抗アルドステロン薬の心不全早期からの併用も有用性が示唆されている。ただし、これら薬物の効果は海外で行われた臨床試験に基づくものであり、国内で通常用いられている投与量と同じではない。無症候例はわが国に多いだけに、今後国内でのエビデンスの蓄積が必要であると考えられる。
©Nankodo Co., Ltd., 2007