内科医のためのパーキンソン病診療
病態の解明と研究の進歩 LRRK2と神経変性疾患
久保 紳一郎
1
1順天堂大学 医学部脳神経内科
キーワード:
Lewy小体
,
Parkinson病
,
Tau Proteins
,
Leucine-Rich Repeat Serine-Threonine Protein Kinase-2
Keyword:
Leucine-Rich Repeat Serine-Threonine Protein Kinase-2
,
Parkinson Disease
,
Lewy Bodies
,
tau Proteins
pp.875-878
発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007169044
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LRRK2(leucine-rich repeat kinase 2)遺伝子変異の発見は、わが国の常染色体優性パーキンソン病(PD)の大家系(相模原家系)における遺伝子座(PARK8;12番染色体)の同定により成功した。LRRK2遺伝子変異は高齢発症の家族性PDの原因のうち、最多を占めると推測される。高齢発症であることから、孤発性にみえる症例が少なくない。臨床的特徴としては、片側下肢にはじまる安静時振戦を高率に認め、L-dopa(levodopa)が著効し孤発性PDとよく似るが、認知機能障害や精神症状、運動ニューロン疾患の合併、さらに垂直性眼球運動障害を呈する症例も報告されている。病理学的には、典型的なPDに矛盾しない黒質変性にLewy小体を伴うものから、びまん性Lewy小体病様の広範なLewy小体の出現を認めるもの、Lewy小体はなく黒質変性のみを認めるもの、脊髄前角細胞変性、axonal spheroidsの出現やタウオパチーを示唆するタウ陽性神経原線維変化を呈する症例、さらにアルツハイマー型病理も報告されている。この臨床病理学的多様性は、LRRK2遺伝子変異がPDのみならず、神経変性疾患と深く関わっていることを示唆している可能性がある。ここではLRRK2分子の最新の基礎的知見を紹介し、本病型の臨床病理学的特徴をふまえ、神経変性とLRRK2分子の関連につき考察する。
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