発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007160138
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症例は83歳の男性で、高血圧、糖尿病、ペースメーカー植込み術、脳梗塞の既往があり、下腿浮腫の出現を契機に入院にて右心不全、三尖弁閉鎖不全症と診断された。冠動脈造影にて左冠動脈回旋枝#13に99%の閉塞があり、経皮的冠動脈形成術が施行された。その後、外来での経過観察を受けていたが、発熱と下腿浮腫の増悪を認め、血小板減少、正球性正色素性貧血、LDH上昇、低蛋白血症、低アルブミン血症、CRP上昇を認め、肝機能は正常であった。フェリチン、可溶性IL-2レセプターの著明な高値を認めた。抗核抗体の著明な上昇を認め、Bence Jones蛋白は認めなかった。心臓超音波検査では肺高血圧の所見は認めず、Gaシンチグラムでの異常集積像は認められなかった。悪性血液疾患を疑って骨髄穿刺を行ったが、有核細胞数6.1,M/E比2.92,異型リンパ球に軽度の増加を認めた以外に異常はなく、表在リンパ節の腫大もなく、胸腹部CTでもリンパ節の腫大は認められなかった。その後、右片麻痺が出現したことを契機に頭部CTにて左ラクナ梗塞の再発を認めたが、意識レベルが低下し、翌日には播種性血管内凝固症候群も併発し、呼吸状態の悪化も生じ、入院20日目に死亡した。病理解剖にて皮膚の褐色斑部の真皮小血管内に異型リンパ球の浸潤を認め、この異型リンパ球はL-26陽性でUCHL-1陰性であった。以上から、intravascular large B-cell lymphoma(IVL)と診断された。
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