発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007160139
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症例は68歳の男性で、高血圧、脳梗塞、右大腿骨骨折の既往があり、他院通院中に多血症の疑いにて当院を紹介された。多血症の原因は不明のまま経過観察にて軽快したが、経過観察中に肝機能検査に異常を認め、胆肝膵内科を紹介受診した。胆道系酵素の上昇を伴う肝細胞障害を認め、ウイルス抗体検査は陰性で、抗核抗体、抗ミトコンドリア抗体も陰性であった。甲状腺機能には異常はなかった。腹部超音波検査では軽度の脂肪肝を認めた。1週間後に肝機能は更に悪化し、この時点で医薬品やサプリメントなどの服用に関しても慎重に問診を行ったところ、降圧作用を期待してγ-アミノ酪酸(GABA)を含む乳酸菌製剤(ヤクルト、プレティオ)を1日1本飲用していることが判明し、ただちにその飲用を中止したところ、1週間後には肝機能は軽度改善し、2週間後には劇的に改善し、1ヵ月後にはほぼ正常化した。たとえ安全性が謳われている健康食品やサプリメントといえども肝障害が生じる可能性を念頭に置き、注意を喚起することが重要である。
©Nankodo Co., Ltd., 2007