内科診療最前線2007 この1年の動向を踏まえて
心不全
磯部 光章
1
,
畑 明宏
,
鈴木 淳一
,
前嶋 康浩
1東京医科歯科大学 循環制御内科学
キーワード:
Granulocyte Colony-Stimulating Factor
,
心室
,
心不全
,
植込み型除細動器
,
Brain Natriuretic Peptide
,
在宅酸素療法
,
心臓再同期療法
Keyword:
Heart Failure
,
Heart Ventricles
,
Granulocyte Colony-Stimulating Factor
,
Defibrillators, Implantable
,
Natriuretic Peptide, Brain
,
Cardiac Resynchronization Therapy
pp.960-966
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007068421
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
心不全診断の生化学的指標として以前より用いられているBNPの有用性の幅が拡がったのに加え、新規の指標(NT-proBNP,ST2)が注目された。心エコー検査では、組織ドプライメージング法が心不全の病態評価に有用であることが示された。CT,MRI,PETによる心臓の撮像技術が向上し、多彩な心機能の評価が可能になった。慢性心不全の診断と管理に関するガイドラインが、より予防医学的な側面が強調される形で改訂された。CIBIS IIIなど大規模臨床試験の結果から、心不全に対する薬物療法の新たなエビデンスが確立された。薬物療法においては、β遮断薬療法の確立以降、大きな進歩に乏しい。心不全に対する非薬物療法(HOT,CPAP,CRT,ICD,LVAD)が進歩し、慢性期の効果も実証された。心不全発症の分子レベルにおける新規の機序が、いくつか解明された。組織工学、発生学、ナノテクノロジーなどを応用した、新たな治療法を開発する試みも盛んに行われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2006