発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007018862
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43歳男。腹痛、腹部膨満でイレウスと診断され、浣腸と点滴治療での軽快を月に1~2回繰り返し、5年程前からは毎週出現しイレウス症状が改善しなくなったため精査加療入院した。腸管ガス貯留が著明で多数のニボーを認めイレウス像を呈した。小腸の弛緩と拡張が著明で機械的閉塞は認めず慢性特発性偽性腸閉塞(CIIP)と診断した。自律神経機能では低緊張性膀胱と心血管副交感神経系では軽度の異常を呈した。腸管運動改善の薬剤ではイレウスの改善に至らず、1週間周期でイレウス症状の悪化があった。コリンエステラーゼ阻害薬の副作用がありクリーゼの危険もあったため2年ほど前に入院し薬剤コントロールを試みたが改善が得られなかった。病変の主座は小腸だが自覚症状の原因に胃の膨満の影響が大きいことから胃漏を造設した。断続的に胃瘻から減圧を行うことで症状は著明に改善し、イレウス症状はほとんど起こらなくなったがニボーは若干残っていた。食事摂取量も増え患者の満足度は高くQOLは著明に改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2006