発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2004111662
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72歳女性.患者は近医で胃幽門部癌(Borrmann4型胃癌)に対する胃亜全摘術後,発熱はじめ貧血,血小板減少の進行がみられ,著者らの施設へ転院となった.入院時検査所見では貧血,血小板減少とともにフェリチン・トランスアミラーゼ・sIL-2の上昇を認め,髄液検査では血球を貪食するマクロファージが多数みられた.画像所見では,胸水や腹水の貯留,脾腫を認めた.以上より,血球貪食症候群(HPS)と診断し,術後約60日よりm-PSL大量療法を3日間施行後,VP-16療法を開始したところ,血液所見の軽快がみられた.しかし,その後,3週間でHPSは再発し,再度VP-16療法を行ったが,改善せず多臓器不全で死亡した.本症例のHPSの原因としては,胃癌の骨髄浸潤,または胃癌手術後の免疫力低下によるウイルス感染の可能性が示唆された
©Nankodo Co., Ltd., 2003