発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2003164398
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52歳男.破壊性甲状腺炎を介してバセドウ病を発症する過程を観察し得た.動悸,体重減少が出現,増悪し,甲状腺機能亢進症と診断された.L-T4は中止され,propylthiouracil(PTU)が投与され加療目的で入院となった.123I摂取率が低値,TRAbが陰性であり,PTU中止にも拘わらずFT4が低下傾向を示した.経過中甲状腺の痛みは認めず,甲状腺機能亢進症の原因は無痛性甲状腺炎と診断し,外来で経過観察することとした.退院後まもなく,入院時検査したTSAbが584%と高値だったことが判明し,退院3週後から,動悸,振戦,全身倦怠感が出現し,FT4は4.29ng/dlと再上昇した.バセドウ病と診断し,PTUを再開したが湿疹が出現し,MMI(thiamazole)に変更した.甲状腺機能が正常化するに伴い,TRAb,TSAb両者の低下が見られた.本症例ではTSAb陽性化がTRAb陽性化に先立ったことが観察でき,バセドウ病発症の早期発見にはTSAb測定が有効であると思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2003