発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2003099191
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23歳女.発熱,全身の虚脱感,出血傾向を主訴とした.特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と診断され脾臓摘出術を受けたが,その際に肺炎球菌ワクチンの投与はなかった.検査所見にて播種性血管内凝固症候群(DIC)を示す異常値を認め,次第に意識レベルも低下し,入院5時間後に死亡した.血液培養の結果,死亡後に肺炎球菌が検出された.検出された菌はpenicillin sensitive Streptococcus pneumoniaeであった.以上より,肺炎球菌敗血症とそれに伴うDICと診断した.本邦でのOPSI症候群の成人例は本症例を含め20例で,脾摘直後から発症迄の期間はさまざまで,起炎菌が検出された17例中11例で肺炎球菌が検出されており,20例中14例が死亡している.成人においても脾摘例ではOPSI症候群を発症する可能性があり,今後予防的な肺炎球菌ワクチン投与は積極的に検討されるべきであると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2002