発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2003099192
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66歳女.黒色便を主訴とした.乳癌術後の抗エストロゲン薬によるadjuvant療法中に深部静脈血栓症(DVT)を発症し,warfarinで維持されていたが黒色便を認め,小球性低色素性貧血を呈していた.血清鉄,フェリチンが低下しており,消化管出血による鉄欠乏性貧血と考えられた.血清総蛋白は高値を示し,γグロブリン分画は増加していたが,Mタンパクは認めず,RF,抗核抗体,抗DNA抗体,抗SS-A抗体が陽性であった.抗レセプター抗体は陽性で,Sjoegren症候群及びバセドウ病を有すると診断した.プロテインC(PC)は抗原量52%,活性50%と共に低下しており,ヘテロ接合体PC欠乏症I型と診断した.新たな下血がなかったためwarfarinを再開し,現在DVTの再発は認めていない.PC欠乏症によりもともと血栓形成のリスクがあった上に,抗エストロゲン薬がさらに過凝固の状態をもたらし,DVTを発症したものと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2002