発行日 2001年3月1日
Published Date 2001/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2001166339
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症例は55歳の男性で,飲酒3~5合/日(35年間)で食欲不振,全身倦怠感が出現し,10kgの体重減少,四肢の筋力低下を認めた.血液生化学検査で低タンパク血症と肝機能障害,黄疸,NH3の上昇を認めた.筋逸脱酵素であるCPK,ミオグロビン,アルドラーゼの上昇を認めた.Kは著明に低下し,Mgも軽度低下していた.血液ガス分析では代謝性アルカローシス及び低K血症に伴う呼吸筋の麻痺によると考えられる低酸素血症を認めた.心電図ではT波平坦化,U波を認め,画像診断では肝硬変の所見及び脾腫を認めた.低Mg血症及び低K性ミオパチーを呈したものと考えられ,補液及びKの補給を行い,検査所見の改善をみた.第3病日に,アルコール離断症状が出現したが,ベンゾジアゼピン系薬,ビタミンB1を含む補液にて軽快した.現在外来通院中であるが経過は良好である.アルコール依存症或いはアルコール多飲者においては血清電解質の検査を定期的に行い,注意深い観察が必要であると思われた
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