発行日 2001年1月1日
Published Date 2001/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2001164912
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症例は32歳男性で全身倦怠感を主訴とした.食欲不振も出現し入院した.眼瞼結膜に貧血なく,眼球結膜に黄染を認めた.発汗著明,弾性やや硬の甲状腺腫を触知し,圧痛なく,心尖部にLevine2~3度の全収縮期雑音を認めた.腹水著明,肝を正中で3横指触知,脾,腎は触知しなかった.全身に著明な浮腫,陰嚢水腫を,手指に振戦を認めた.甲状腺機能亢進状態で,TSHレセプター抗体82.7%と高値でバセドウ病と診断した.tiamazoleを開始し全身倦怠感,全身の浮腫,陰嚢水腫は消失した甲状腺機能亢進症に黄疸や肝障害を来すことはよく知られているが肝不全を来すほどの重症の肝障害の報告は少ない.症例は脳症なし,腹水中等度以上,T-bil6.8mg/dl,Alb2.8g/dl,PT78.4%で肝硬変Child-Pugh分類class Cと重症であった
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