臨床室
小児の両膝蓋骨上外側病変の1例
星野 弘太郎
1
,
中寺 尚志
1西部島根医療福祉センター 整形外科
キーワード:
X線診断
,
画像強調
,
骨疾患
,
骨腫瘍
,
MRI
,
膝蓋骨
,
鑑別診断
,
X線CT
,
STIR法(MRI)
,
縦緩和時間
,
横緩和時間
,
スポーツ復帰
Keyword:
Return to Sport
,
Bone Diseases
,
Bone Neoplasms
,
Diagnosis, Differential
,
Image Enhancement
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Patella
,
Radiography
,
Tomography, X-Ray Computed
pp.543-547
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016299856
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9歳男児。左膝痛を主訴に受診となった。X線では左膝蓋骨の側面像で前方、軸位像で外側前方に骨膨隆が認められた、また、単純CTでは膝蓋骨前外側皮質骨表面の菲薄化膨隆、内部の骨透明巣がみられ、MRIでは膝蓋骨外側骨軟骨境界より内側部分にT1、T2強調像ともに低輝度線が確認された。以後、骨腫瘍との鑑別目的で経時的にCT観察を行ったが腫瘍は否定的で、スポーツを禁止したところ、CTで骨透明巣内に骨化がみられ、骨外への進展がなかったことから、初診より半年で運動を再開した。しかし1年後、今度は右膝上外側部の運動時痛が出現、過去のX線像と比較して、軸位像で外側部分が骨化が遅延し、外側前方部分の皮質骨が膨隆していた。一方、MRIでは外側骨軟骨境界部分に亀裂像を認め、その間隙はT1強調像で低輝度、T2強調像と脂肪抑制像で高輝度を呈し、液体貯留を認められた。以上、これらの所見を踏まえて、スポーツを3ヵ月間禁止したところ、痛みは速やかに軽減し、スポーツ復帰後も痛みの再発はなかった。尚、目下、左膝は発症後4年7ヵ月、右膝は発症後3年7ヵ月が経過したが、X線像では両膝蓋骨は分裂膝蓋骨Saupe分類III型を呈し、CTでは分裂骨片は両側ともに膝蓋骨本体と一部癒合している。
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