臨床室
人工股関節全置換術中にレトラクターによると思われる経頭蓋電気刺激筋誘発電位の振幅低下を認めた2例
曽根勝 真弓
1
,
岩崎 博
,
宮崎 展行
,
阿部 唯一
,
吉田 宗人
1和歌山県立医科大学 整形外科
キーワード:
X線診断
,
関節疾患
,
筋電図
,
股関節
,
術後合併症
,
術中モニタリング
,
神経系疾患
,
電気刺激
,
誘発電位
,
股関節置換術
,
開創器
Keyword:
Evoked Potentials
,
Electric Stimulation
,
Electromyography
,
Hip Joint
,
Joint Diseases
,
Nervous System Diseases
,
Radiography
,
Postoperative Complications
,
Monitoring, Intraoperative
,
Arthroplasty, Replacement, Hip
pp.1346-1350
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015090932
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症例1は77歳女で、15年前に人工股関節全置換術(THA)を受け、左股関節痛のため受診した。左臼蓋カップの弛みを認め、経頭蓋電気刺激筋誘発電位(BrE-MsEP)モニタリング下に再置換術を施行した。処置終了後、左前脛骨筋(TA)および母趾外転筋(AH)に振幅低下を認めたが、原因となる操作は行っておらず、臼蓋後方にかけたレトラクターによる坐骨神経圧迫を疑った。レトラクター除去後も振幅は回復せず、術直後TA、AHの筋力低下を認めたが、徐々に回復した。症例2は55歳女で、亜脱臼性変形性股関節症による右股関節痛を主訴とした。脚長差2.5cmのためBrE-MsEPおよび持続筋電図モニタリング(fEMG)併用のTHAを施行し、大腿骨後方にレトラクターを挿入したところ、fEMGで右TA、AHに群発する波形が出現した。BrE-MsEPでは振幅低下を認めたが、レトラクター除去後より群発波形および振幅低下は消失し、筋力低下や感覚障害もなかった。
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