発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014317171
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症例は66歳男性で、右肩部の悪性線維性組織球腫の切除術後に、有茎広背筋皮弁を用いて再建を行った。腫瘍とともに三角筋を切除し、再建後は上腕骨頭が皮弁を直接下方から圧迫する状態となっていた。術翌日に携帯型サーモグラフィー(FLIR E4)を用いて、撮影は室温で行い、反射率は0.97と設定して、皮弁の術後管理を行ったところ、上腕を下垂させると皮弁全体の温度が低下し、肩関節を屈曲させると皮弁全体の温度が上昇していた。外転枕を用いて肩関節屈曲位での固定を行ったところ、術後1週間時にはFLIR E4にて、皮弁は周辺の皮膚と同等の温度を呈し、生着を確認することができた。本例により、FLIR E4は軽量で携帯性にも優れ、かつ皮弁全体の温度分布や肢位の変化に伴う温度変化などを評価することも可能であり、術後の固定肢位を合理的に決定することが可能であることから、皮弁の術後管理に有用であることが示された。
©Nankodo Co., Ltd., 2014