臨床室
Thenar motor syndromeとしてとらえた正中神経反回枝損傷の1例
仲野 春樹
1
,
森 倫夫
,
佐藤 哲也
,
田中 一成
,
荻野 利彦
,
佐浦 隆一
1大阪医科大学 リハビリテーション医学
キーワード:
尺骨神経
,
手根管症候群
,
手指
,
神経移行術
,
正中神経
,
電気生理学
,
正中神経障害
,
外転筋
,
神経伝導速度
Keyword:
Carpal Tunnel Syndrome
,
Electrophysiology
,
Fingers
,
Median Nerve
,
Ulnar Nerve
,
Nerve Transfer
,
Median Neuropathy
pp.229-232
発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014317165
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症例は75歳男性で、職業は大工であり、左環指・小指のしびれ、左手指の筋力低下を主訴とした。母指球の筋萎縮も認められたため、手根管症候群などの鑑別を目的に電気生理学的検査が実施された。左の正中神経運動神経伝導検査(MCS)では、手関節刺激で短母指外転筋(APB)の複合筋活動電位(CMAP)が導出されなかった。APBの筋電図検査では、脱神経電位は認めなかったものの、随意収縮で認められた運動単位は数個しかみられず、第2虫様筋記録での正中神経MCSも、手根管症候群と診断するには非定型的であった。一方、左尺骨神経のMCSは、小指外転筋記録で肘部管を挾んだ部位での運動神経伝導速皮が著しく低下していた。左肘部管症候群に対して尺骨神経前方移行術を施行したところ、術後環指・小指のしびれは改善となった。
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