発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012061432
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71歳女。23年前に右下腿脱分化型脂肪肉腫にて大腿切断術を受け、3年後に左腸骨坐骨切痕部に脱分化組織である紡錘形肉腫の転移を認めたが、放射線照射で病巣部はコントロールされ、以後再発は認めなかった。今回、転倒後に左股関節痛が出現して歩行困難となり、ROM制限を認めた。約1年前のX線像では放射線照射後骨炎の既往を示唆する骨透亮像と骨硬化像の混在を坐骨切痕部に認め、今回のX線像では新たに臼蓋部軟骨下骨の消失、骨透亮像の進行および骨頭の臼蓋への突出を認めた。また、CTでは放射線照射野である左臼蓋部に骨硬化像、病的骨折を認めた。MRIで病巣はT1強調像で低輝度、T2強調像で中~高輝度の混在を呈し、中等度の不均一な造影効果および病巣の骨外への進展を認めた。臼蓋部の骨原発性腫瘍を疑い生検を行い、組織学的に紡錘形肉腫と診断され広範切除術を施行した。病理診断は放射線照射後肉腫であった。術後経過は良好で、術後4ヵ月の現在、無再発で生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2011