発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012048012
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66歳女。プレス機によって手掌から指にかけて打ち抜かれ、第2指間部から中指橈側、第1指間部の広範な骨軟部組織欠損伴う中指不全切断を受傷した。中指末梢とは幅1cmの皮膚、神経のみで連続していたが、末梢の血行は認めなかった。一期的に指の血行再建と骨軟部組織再建を行うこととし、同側前腕屈側から2本の併走する静脈を含めた皮弁を挙上した。そのうち1本を皮弁の栄養血管として手掌の指動・静脈に吻合し、別の1本は中指背側の静脈と手背の静脈の間で吻合し、中指の静脈血行再建も同時に行った。術後約2週間、皮弁の鬱血を認めたが、中指の血行は良好で、皮弁、中指とも生着した。後日、第1指間部の軟部組織欠損には、逆行性後骨間動脈皮弁を用いて再建した。示指、中指の運動・知覚機能は低下したが、整容的結果には患者の満足を得た。指の知覚はSemmes-Weinsteinモノフィラメントテストで紫となり、母指、示指のピンチ力は2kgに回復し、両手で炊事を行っていた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011