発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011306551
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83歳女。誘因なく右股関節痛が出現し、X線で異常を認めず経過観察となったが、徐々に症状が増悪して歩行困難となり、2ヵ月後の再X線で骨折を認めた。両股関節のX線像で右中心性股関節脱臼骨折を認め、大腿骨頭は高度に中心性転位を生じていた。CTでは寛骨臼の高度の粉砕を認めた。臼蓋粉砕部が骨癒合するまで4週間待機した後、右人工股関節全置換術を施行した。術中、臼蓋の陥凹が高度であったため、切除大腿骨から得られた自家骨を臼底に充填し、その上から金属メッシュを設置した。更に、その上から自家骨チップを臼蓋内全体に敷き詰め、impaction bone graftの手技に準じて骨移植を行い、カップをセメント固定した。続いて、大腿骨側についてもセメントステムを設置した。術後経過は良好で、術後1年半時点のX線で臼蓋側の移植骨層は骨梁構造が明瞭化し骨癒合が得られ、大腿骨側についても萎縮していた大腿骨皮質の回復を認めた。
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