発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011072011
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36歳男。18年前から安全靴を履く仕事をしていた。3ヵ月前に右踵部の突出に気づき、1ヵ月前より痛みのため安全靴を履いての歩行が困難となった。初診時、右踵骨アキレス腱付着部外側を中心に約1cmの膨隆があり、同部に胼胝を形成していた。3-D CTで踵骨アキレス腱付着部中央に骨性遊離体を、外側に骨性隆起を認めた。MRIではT1強調画像で等信号、T2強調脂肪抑制画像で高信号を示す骨性遊離体と思われる腫瘤を認め、その周囲の腱組織はT1強調像で等信号、T2強調脂肪抑制画像で高信号を示した。更に、T2強調脂肪抑制画像では骨性隆起部の後方に高信号域を認め、アキレス腱皮下滑液包炎を生じていると判断した。アキレス腱皮下滑液包炎を伴ったアキレス腱骨化症と診断し、保存的加療で痛みが消失しないため、アキレス腱皮下滑液包と骨性遊離体の切除を行った。病理所見で腱様の密な膠原線維束から軟骨内骨化を伴う異所性骨化組織への移行像を認め、骨性隆起部も含めてアキレス腱骨化症と診断した。術後経過は良好で、術後1年の現在、再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010