発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010265981
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69歳女性。患者は関節リウマチを発症し、薬物療法中であったが、その後、弛張熱が持続し、CTにて腸骨部の腫瘤を指摘され入院となった。血液検査では炎症所見がみられ、骨盤単純X線では恥骨部に骨折が認められた。また、CT横断像では右腸骨に陳旧性骨折がみられ、周囲軟部組織から腸腰筋に多房性嚢胞性病変が認められた。更にMRIでは右腸骨内および周囲に進展する占拠性病変があり、T1強調画像で等信号、T2強調画像で低信号、ガドリウム造影で多房性腫瘤を示していた。以上より、本症例は骨盤部膿瘍と考えられ、X線透視下に穿刺およびドレーンを留置後、培養・組織検査を行ったところ、ツベルクリン反応は弱陽性であった。しかし、症状はドレーンでの排膿および抗菌薬投与を行うも改善しないため、デブリドマン、持続灌流が行われた。以後、あわせて術中検体より結核菌が検出され、結核性膿瘍と診断、抗結核薬投与を開始した結果、弛張熱は改善し、膿瘍も消失した。目下、術後6年半経過で再発はみられていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010