発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010118214
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
38歳男。小学3年時に左大腿四頭筋拘縮症の診断で筋切離術を受け、術後の日常生活動作に支障はなかった。20歳頃より大腿部に索状物を触知するようになり、尻上がり現象を自覚し、特に階段下降時に困難を生じていた。MRIで切離された大腿直筋間にT1・T2強調像で線状の低信号領域を認め、瘢痕による索状物が形成されていると考えられた。また、外側広筋の筋膜が肥厚していた。手術を施行したところ、切離大腿直筋間は白色の硬い瘢痕様組織で連続していた。瘢痕部分を切離して周囲との癒着を剥離すると共に、外側広筋の筋膜と腸脛靱帯も切離した。これらの処置により、股関節伸展0°での膝関節完全屈曲が可能となった。術直後より膝から下腿内側の知覚過敏を認め、大腿四頭筋に筋力低下が出現し、手術高位に一致した大腿神経走行部にTinel様徴候を認めた。術中の大腿神経過伸展による神経麻痺と診断し、再癒着を防ぐリハビリテーションと共に大腿神経への低周波を施行した。疼痛やしびれが強く投薬を要したが、次第に筋力は回復し、術後1年時で再癒着はなく、尻上がりは認めず、歩行障害消失は確認していた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010