発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010118211
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大腿骨近位部骨折のため手術目的で入院した48例(男4例・女44例・平均82.4歳)を対象に、手術待機期間に下肢深部静脈血栓症(DVT)スクリーニングとしてDダイマー測定を行った。受傷から入院までは平均0.6日で、Dダイマー測定は入院当日と入院5日目に行った。入院時のDダイマー値は平均27.1μg/mlで、20μg/ml以上の高値は22例に認めた。入院5日目のDダイマー値は平均11.1μg/ml、20μg/ml以上は5例で、高値5例のうち4例は初回値(いずれも20μg/ml未満)よりも上昇していた。骨折部位別にみると、内側骨折23例は入院時平均22.1μg/ml、5日目7μg/ml、外側骨折25例は31μg/ml、14μg/mlであった。入院5日目の値が20μg/ml以上の5例に造影CTを施行したところ、3例に骨折肢のDVTを認めた。大腿発症の2例には下大静脈フィルターを挿入し、下腿発生の1例にはヘパリン・ワーファリンによる抗凝固療法を行った。これらを含め、対象全例で肺塞栓症の発症はなかった。なお、入院時と5日目のDダイマー値の関係について検討したが、相関は認めなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010