発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006153666
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56歳女.2004年5月下旬より左下腿の腫脹,疼痛が軽度出現したため6月上旬に受診,表在エコーにて左腓腹静脈に血栓を認め,同日よりワルファリン,アスピリンの内服を開始した.3日後胸痛が出現したので内科を再診したところ,肺血流シンチグラムにて左肺下葉に陰影欠陥を認め,肺塞栓症と診断され入院となった.血栓溶解療法にて左肺及び下腿の血栓は消失し腫脹及び疼痛はわずかに軽快したが,1週間後のMRIおよび静脈造影にて膝窩動・静脈は膝窩部腫瘤により高度に外側に圧排されておりこれにより左腓腹静脈内に血栓が生じたと考えられた.静脈内血栓再発の可能性が今後も考えられたため9月上旬に腫瘤摘出術を行った.病理所見は一部が滑膜様の線維性組織よりなる嚢腫壁であり,Baker嚢腫と診断された.術後2日目よりワルファリン,アスピリンの内服を再開し,下腿の腫脹,疼痛など症状の再発も認めず,術後9日目に退院となった.2004年10月中旬に仕事復帰後も症状の再発などは認めておらず,経過は良好である
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