発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008233812
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65歳以上の大腿骨近位部骨折83例を対象とし、大腿骨近位部の不顕性骨折の発生頻度について調査した。頸部骨折35例、転子部骨折48例であり、このうちMRIでのみ診断可能であった例は、頸部骨折35例中6例(17.1%)、転子部骨折48例中2例(4.2%)で、全体では8例(9.6%)であった。MRIで診断された不顕性骨折8例は平均83.8歳で、若干高かった。共通した臨床症状は歩行(荷重)時痛であり、臥位や端坐位での疼痛が軽微であった。前医の初診時単純X線像で骨折と診断されず、その後骨折部が転位して歩行不能となり当院を受診した例は、頸部骨折が3例、転子部骨折が1例あり、これらを不顕性骨折に加えると、頸部骨折9例(23.7%)、転子部骨折3例(6.1%)で、全体では12例(13.8%)であった。MRI所見の特徴として、転子部骨折では2例とも、骨折線が前方のスライスでは大転子部より小転子上に向かっており、後方のスライスは大転子部より小転子下へと向かっていた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008